
エビに似た形をしていますが、その風貌から深海のエイリアンの異名を持ちます[2]
日中は 300m-600m付近にいますが、夜間は表層付近まで浮上してきます[3]。
透明な樽のようなものを押して泳ぐ姿からこの名前がつきました。
この透明な樽は、ゼラチン質の身体をもつヒカリボヤやサルパ(これもホヤの仲間)などの生物です。オオタルマワシは、これらの生物の中身だけを食べてくり抜き、利用しています。
この動画はオオタルマワシがタルの中に産卵し面倒を見ている貴重な映像だと思います(頭部は右上。ハサミのついた腕が下部に見えます)。孵化した子供達はタルごと母親と移動します。母親はクラゲなどを捕まえては樽の中の子供たちに与えるそうです。つまりこのタルはまさに"ゆりかご"としての機能を持ちます。
またオオタルマワシがこのタルをクラゲにぶつけて捕食する様子も確認されており、このタルにはまだまだ知られていない役割もありそうです[4]。
西伊豆・大瀬崎では秋から冬にかけて季節風で外洋から押し流されてきたオオタルマワシを観察できるようで、ダイバーたちが撮影した写真もweb上で見られます。また、かつて沖縄の美ら海水族館で長期飼育に成功していたようですが、残念ながら今現在、日本にオオタルマワシを展示している水族館はないようです[5]。
なお、オオタルマワシを食べた感想などはwebサーチでは見つけられませんでした。
レア度 ★★★★★(★の数が多いほどレアです)
1. Zooplankton Guide Scripts institute of oceanography UC San Diego
2. 藤原義弘 深海のとっても変わった生き物 p54 幻冬舎
3. Elder and Seibel 2015. Ecophysiological implication of verticcal migration into oxygen minimum zones for the hyperiid amphipod Phronima sedentaria. J. Plankton Res 37:897-911
4. 佐藤孝子 深海生物大事典 p106
5. 美ら海生き物図鑑